はじめに
ホタルイカの寿命は、約1年と考えられています。4~6月に誕生し、翌年3~5月に産卵を終えると死亡する説が有力となっています。また、ホタルイカの回遊経路に関して、林清志氏や内山勇氏、道之前氏などの学者が研究を行っています。
ここでは、様々な論文よりホタルイカの回遊経路をまとめてみました。
4月から6月にかけての産卵期
ホタルイカは、隠岐島西側の海域、若狭湾、富山湾の3か所を産卵場としている事が分かっています。産卵されたホタルイカの卵は、水深100mより浅い層を分布しながら、対馬暖流により日本海中央から津軽海峡西方に至る冷水域に広く拡散、分布します。この移動過程でふ化すると考えられており、ふ化後、水深50~125mの間を夜間は浅い層へ、昼間は深い層へと移動するようになります。
※日本地図
3つの湾を⭕️で囲んだもの
6月から9月の成長期
日本海以北を生育場として成長し、夜間は浅い
層へ、昼間はさらに深い層へ移動するようになる。
10月から12月の生体期
さらに成長が進むと、夜間は水深50~100m層へ、
昼間は水深200m層よりさらに深いところへ移動するようになります。このころには南下をはじめ産卵場へ向かい始める。早いものでは、10月に富山湾奥部まで来ているものも確認されています。
2月から4月の産卵期
オスがメスに精きょうを渡す交接行動が行われ、その後オスは死亡しメスは富山湾の湾奥沿岸域で産卵期を迎える。3月から6月の産卵期のメスは、夕方に浮上しながら接岸し夜間に産卵した後、明るくなると下降しながら離岸するという行動を繰り返し、産卵終了とともに死亡すると推定される。
日本海回遊説
ホタルイカは、産卵場と生育場の2つの海域を回遊していると考えられています。ホタルイカの生息水域の水温は冷たいため、産卵の際に卵が正常にふ化する暖かい水域まで移動する必要があります。そのためにホタルイカは3つの産卵場を目指し南下すると考えらています。そして、1部のホタルイカが能登半島によって分断され富山湾に来遊し、富山湾奥部の海岸で身投げという現象を起こすと考えられています。これが現在ホタルイカの生態として有力と考えれられている日本海回遊説です。
この説が本当であれば、富山湾で身投げを行っているホタルイカはごく一部の個体であるという事になります。また、産卵の為に海岸へ接岸するのではなく、産卵の為に水面へ浮上する。そして、方向感覚を失ったものや潮に流された個体が富山湾で見られる身投げという現象を起こすと考える事ができます。
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