ホタルイカの生食は、絶対にしないでください。ホタルイカの内臓に潜む寄生虫により食中毒症状が起きるからです。その寄生虫とは、旋尾線虫「せんびせんちゅう」と言います。今回は、旋尾線虫による食中毒を避ける方法と対策をお伝えしようと思います。
★旋尾線虫とは★
旋尾線虫はType I 〜 XIIIまで分類され、Type Xが問題となる。旋尾線虫のタイプテン (Type X) はホタルイカの消化管のほかハタハタ、タラ、スルメイカなどの内臓に寄生する[1]。 生きた虫体は透明で白く、0.8~2mm未満程度の虫で、組織侵入性を持つため幼虫が体内に侵入・移動し組織障害をもたらす幼虫移行症を引き起こす。ホタルイカの約2-7%に寄生していると報告されている。
Wikipedia
★人が食べるとどうなるのか★
ホタルイカを踊り食いや刺身として食べると旋尾線虫症という食中毒を発症します。旋尾線虫症には急性腹症型と皮膚爬行症型の2種類あります。
1、急性腹症型
ホタルイカの食後、数時間から2日目の発生が多い。症状として腹痛が主だっており、嘔吐症状もある。持続時間は2から10日続くとされる。治療法として、対症療法が行われる。
2、皮膚爬行症型
ホタルイカの食後、2週間前後の発生が多い。症状として腹痛、嘔吐が現れる。皮疹が、腹部に表れ1日に2~7㎝伸びる。治療法として、虫体を摘出する必要がある。また、重症化すると腸閉塞になり、入院する必要がある。最悪の場合、手術も必要となる。
どちらの症状が現れたとしても、すぐに医療機関に受診する必要があります。
★どうすれば予防できるか★
旋尾線虫の被害を予防する方法は「内臓除去」「加熱」「冷蔵」の主に3つです。
・内臓除去
旋尾線虫は、ホタルイカの内臓に生息しています。生食でホタルイカを食べる場合は、内臓を取り除きましょう。富山県のスーパーで売られている刺身食ホタルイカは、胴体と足に分けれており内臓は取り除かれた状態になっています。内臓さえ食べなければ、食中毒になる危険性が大きく下がります。
また、ホタルイカを刺身に加工する場合は、新鮮なものを使う必要があります。ホタルイカの鮮度が落ちると旋尾線虫は、内臓から身へ移動するからです。水揚げ後1日以上たったホタルイカは加熱して食べるようにすると良いです。
・加熱
旋尾線虫は、熱に非常に弱いです。ホタルイカを加熱処理すれば、旋尾線虫は死滅しているので安心して食すことが出来ます。
沸騰水に30秒以上、中心温度が60度以上で処理すれば安全です。
・冷蔵
旋尾線虫は、冷蔵によっても死滅させることが出来ます。加熱ほど早く死滅させることはできませんが、死滅させることが出来ます。この処理により、解凍したホタルイカを生食として食べることが可能になります。
次に旋尾線虫が死滅する温度と時間を示します。下記の環境で冷凍されたホタルイカは生で食べても安心です。
ー30℃で4日間以上
ー35℃で15時間以上
ー40℃で40分以上
★家庭用の冷凍庫では、冷蔵処理はできない。
家庭用冷蔵庫の冷蔵温度は、JIS規格によりー18℃以下と決まられています。このー18℃では、上記の旋尾線虫の死滅温度まで冷凍できません。家庭用冷蔵庫で冷凍しても旋尾線虫が生きている可能性が高いので、食中毒になる恐れがあります。したがって、自家製冷凍庫でのホタルイカの沖漬けなどは、避けておいた方が良いでしょう。
また、業務用冷凍庫は、-20℃からー30℃と設定されています。冷凍庫の設定を「強」にして、4日間以上冷凍すると旋尾線虫が死滅していると考えられます。もし、業務用冷凍庫をお持ちの方は、ホタルイカの沖漬けを作ることは可能です。
★どうしても生食ホタルイカが食べたい場合(沖漬けなど)
ホタルイカの沖漬けや生食を購入する場合、-30℃以下で冷凍されたことが明記されている商品を選択しましょう。冷蔵方法を明記してある商品は、寄生虫に関しての知識がある業者と考えられるので安心できます。そのような業者から商品を購入することをオススメします。そして、自分の身は自分で守りましょう。
★役所からのお知らせ★
厚生省生活衛生局
富山市保健所
コメント